「JWの二世ですか?」
このブログを始めて、ツイッターやメールを受けるようになってよく受ける質問です。(厳密にいえばいろんな宗教から「〇〇の二世ですか?」と言われたのですが…)
初めてこの質問を受けた時は、正直「JWって何?」という程度の知識で、しばらくしてからそれが「エホバの証人(ものみの塔)」だということを知りました。
わたしのブログのどこがエホバの証人だと思わせたのだろうと思っていたところ、ツイッター経由で「カルト宗教信じてました。「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由 」という本が出版されたことを知りました。
もちろん即購入。
内容がエホバの証人の中で25年間過ごした著者の視点で描かれていて、マンガなので読みやすかったです。とても参考になったので、ご本人に許可をいただいてレビュー記事を書くことになりました。
この記事を読んで興味がわいた方は、ぜひ書店で買って読んでみてください。
「いや、現役のJWでそんな本を家に置いておけない」という方は、最上部の本の画像をクリックすると電子書籍が購入できるサイトにリンクできますので、そちらを利用いただければと思います。
著者【たもさん】のブログ↓
著者【たもさん】のTwitter↓
カルト宗教信じてました。~あらすじ~
最初は著者の母親がエホバの証人に入信するところから始まります。著者はそんな母親に連れられて、一緒に集会へ参加するようになるのです。
しかし、はじめから熱心に信仰を持っていたのではなく、
- 死に対する疑問
- 宗教の中での出会い
- 周囲からの孤立
など、いくつかの要因が重なって徐々に宗教の中に入っていくのでした。
そして、より深く宗教を信仰するきっかけとなったのが、プールの水の中に全身を浸す“バプテスマ”と呼ばれるキリスト教特有の儀式(?)でした。バプテスマを終えて周囲から拍手が送られた時に
「これが答えだ」
と感じたのです。
この後、話は、
- 阪神・淡路大震災
- 両親の影響
- 進路
- 結婚・妊娠
- 子どもの病気
など、多くのターニングポイントについて描かれていき、その中で今度はエホバの証人をやめるまでの道につながっていきます。
なぜ、著者はカルトを信仰して、
なぜ、やめることになったか。
両親や夫、子供の存在、他の信者との交流など、エホバの証人という宗教の中での半生を、ユーモアあるイラストで描かれていきます。
「宗教のリアル」を知ることができる一冊です。
本を読んでの感想
マンガではありますが、文章量もそれなりにあるので、読み込むこともできるし、イラストを見ながらサラッと読み進めることもできる、二度おいしい構成でした。
以下に本を読んでの感想をまとめました。
自分の中でいろんな感情がうずまいた
読んでいく中で、
- 厳しい戒律に対する“驚き”
- 宗教の中にいたがゆえの“共感”
- 著者の歩んできた人生をこうして描けることへの“尊敬”
など、自分の中でいろんな感情がうずまくのを感じました。
また、ご主人や親友、お子さんのような心の支えとなる人が周囲にいることにうらやましさを感じる節もありました。自分は家族は当然、友達はほとんどがばりばりの信者だったもので、誰にも相談できずに宗教をやめたからかもしれません。
無条件に理解を示してくれる存在の尊さを知ることができました。
複雑な気持ちになる「あの顔」
読んでいて複雑な気持ちになったのがここの場面↓
エホバの証人には、子供を教義の中でしつけるために、ムチやホース、布団でたたく風習があるそうです。
- 泣いたらムチを打つ
- 文句を言えばムチを打つ回数が増える
- 集会中にウトウトしたり、姿勢が崩れたらトイレに連れていかれて…
言ってしまえば「神が許した虐待」です。
お茶の席で、先輩の信者が楽しそうに「自分たちが子供にした虐待の話」をしているときに、著者が
「それで子供は付いてくるんですか?」
と尋ねてしまいます。そのときした「信者たちの顔」が
これ↓です。
自分の誤った行いを正当化するために、教義を引き合いに出す時の「あの顔」。わたしも二世として子供の頃からよく見ていた顔です。
内心では「間違っている」と叫んでいる自分がいる。
けど、自分が間違っているとは認めたくない。
だから「自分のせいではない。教義ゆえにそうしているんだ!」と自分に言い聞かせている。
そんな自己矛盾を起こしているときに、よくこういう顔を見せます。
わたしの親もよくこんな顔をしますし、きっと自分もそんな顔をしていたに違いありません。
この絵はリアルに描写されている分、う~ん…なんだか気持ちが落ち着きませんね…苦笑
自分を変えようとする時期への共感
また、深く共感する場面もありました。
本の後半には、著者のご主人(ご主人もJW二世)がいろんな自己啓発系の本を読み漁って、ご自身の考えをしっかり持てるように努力する内容がありました。神頼みではなく「自分で考えて決めるクセ」を付けることに取り組む姿が描かれています。
自分の本棚にも
など、多くの本が積まれています。特に宗教をやめたばかりの頃に読んでいた本を手に取ると、いろんな情景が思い出されて、なんだろう、ちょっとホロリとします。(笑)
自分も同じような状況にあったので、この場面にはとても共感を覚えました。
他にも共感できる内容が多く、何故「JW二世ですか?」と聞かれるのかわかったような気がします。
※著者にツイッターでそのことを伝えたら
「どこも一緒なんですかね?w」
と返信をいただきました。それはそれで牛丼食べながら苦笑い…
まとめ~この本を読んでほしい人~
この「カルト宗教信じてました。「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由 」は宗教それ自体を否定しているものではありません。著者の人生と宗教との関わりをリアルに描いている本です。
そのため、今現在、新興宗教の信者だという方でも読むことができます。
また、宗教をやめようかどうか悩んでいるという方でも読めるでしょう。勇気をもらえますし、気持ちの整理にもなるのではないでしょうか。
この本のほとんどは著者とご主人、そしてお子さんに話を中心に進んでいきます。そのため、「家族と宗教」というテーマについて考えたい人にもおすすめです。
親しみやすいタッチのマンガとユーモラスな内容のバランスも良いので、カルトの信者に対して関心のある方でも、最初の取っ掛かりとして読むことができます。
多くの気づきがあるので、本屋に立ち寄った際は「コミックエッセイ」コーナーをのぞいてみてください。
著者【たもさん】のブログ↓
著者【たもさん】のTwitter↓