ほとんどのカルト教団では入信したあとでも定期的にセミナーを開催して、信者の参加を推奨しています。
セミナーは1日で終わるものもあれば、数日施設に泊まるカタチで実施されるものもあります(中には半年~数年というものも)。
今ではそれほどまでではないですが、わたしが子どものころ両親は熱心な信者だったのでよく数日家を空けてセミナーに参加していました。
わたしの場合は小学生のころから二世信者だけで集まるセミナーに参加させられていていました。
今回はわたしの実体験から新興宗教のセミナーでどんなことをするのか「ノベライズ風」に紹介します(ええ…ウケ狙いです)。
朝は「〇〇さま!おはようございます!」から始まる
「起床!起きてください!起床!」
外はまだ暗い早朝、どんなに眠くても“セミナーのお兄さん”はわたしたち小学生を起こしに来る。
寝る子は育つという言葉は我々のような二世信者には適用されないのだろうか?
「隣の子を起こしてあげてください!」
「起きた人はおふとんの上に正座して待機!」
隣では昨日会ったばかりのA君がまだスヤスヤ寝ている。会ったばかりだったけどなかなか良い奴ですぐに仲良くなった。
「Aくん!朝だよ!起きて!」
ハッとしたように天井を見上げながら目を覚ますA君。「ここはどこ?」と言わんばかりの表情だ。
全員が目を覚ましたことを確認したお兄さんは、布団の上で正座しているわたしたちの顔を流すように見ながら「せ~のっ!」と言った。
「〇〇さま!おはようございます!」
「今日も一日よろしくおねがいします!」
面倒くせぇ。
いや、そんなことを考えるのはよくない。
朝の儀式
「おふとんをたたんだら着替えて“朝の儀式”の準備をしてください」
セミナーに参加しまくっているわたしからすればふとんをたたむのは朝飯前…、いや朝儀式前だ。
大体、この段階になってもまだ目が開かない子がいる。そんな子のために優秀なボクは布団を代わりにたたんであげる。すごいだろ?
数分後、朝の儀式がはじまった。
儀式と言っても単調な言葉をくり返し唱えるだけだ。歌うときもある。
太鼓がどんどんなったり、怪しげな音楽が流れるCDは不愉快な気持ちにさせる。
ジョギング
「それでは10分後、玄関の外に集合してください」
そろそろ冬である。玄関の外はかなりの寒さであることを理解しての発言か?
10分後に玄関に集まると、案の定みんな寒くてピョンピョンはねている。
ピーーッ!
ホイッスルをならしたお兄さん。
「さあ、みんなで〇〇さまのことを思いながら走ろう!」
小学生はまだそこまで青春していない。
ピッピッピ!
ホイッスルを鳴らしながらお兄さんが走り出した。それについていくようにみんな走り出す。
「〇〇さま!〇〇さま!はい、みんなも一緒に!」
お兄さんに続いてわたしたちも掛け声をあげる
「〇〇さま!〇〇さま!」
え?「ホイッスルや掛け声は近所迷惑じゃないか」って?
ここに近所なんてない。あまり人の通らない山の中なのだから…(たまに散歩しているおばあちゃん歩いているけど)。
朝食
汗もかかないほど寒い中を走ったあとは朝食だ。時計は6時を回っている。
それぞれテキパキと配膳を済ませ、班ごとにまとまってテーブルを確保した。
「はい、じゃあ皆さん手を合わせてください」
全員手を合わせたのを確認後、お兄さんの「せーの!」の一言でみんなが同時に声を出す。
「〇〇さまいただきます!」
「美味しいお食事ありがとうございます!」
当然「ごちそうさま」も同じ要領なので割愛。
エライ人のお話
朝食を食べたあとはエライ人のお話がある。
ノートと筆記用具をもって机に座り、エライ人のお話をメモっていくのだ。
今日は〇〇さまの半生についてのお話。
「〇〇さまは普通の人とは違う感性を持っている」
「あなたたちのお父さんお母さんはすごい」
「子どもであるあなたたちはもっとすごくなれる」
そんな内容だ。
A君は横でウトウトしている。まあ正直つまらないのだからしょうがない。
するとお兄さんがA君の肩をたたいて「頑張って!」と小声で応援する。
声をかけるべき人間を間違っているのではないか?あのエライ人の話がクソつまんねえ(おっと口が過ぎた)から眠くなるのに、なんでこっちが頑張らなきゃいけないのだ?
映像上映
少し休憩したあとは映像上映の時間だ。
ここは割合小学生でも楽しめるアニメを流すことが多い。よくあるのがディズニー。
けど、ときどき教団が作った、
- オリジナルアニメ
- ドキュメンタリー的映画・ドラマ
- 教義を説明する動画
が放映されると「うわ、今回のセミナーハズレだなぁ…」って思う。
スポーツ
いつもは体育館のようなところでスポーツをすることが多い。けど外でやることもある。
基本的にチーム戦のスポーツ。
- バスケットボール
- サッカー
- ドッジボール
- アルティメット
- バレー
なぜか野球はやらない。道具の保管管理が面倒なのだろう。
運動音痴のわたしにはどのスポーツでも嫌なんだけど…。
登山
メインイベントが登山ということもある。
その場合は
- リュック
- 水筒
- お弁当
などをしっかり準備する。
山頂で友だちと食べる弁当は美味しいのだ。
出し物
最終日前日に向けて班ごとに“出し物”を準備する。
- 劇
- コント・漫才
- 歌
- マジック
などなど、それぞれが工夫をして考える。
創意工夫するので、みんなの想像力とチームワークが一番試される。
これが楽しいときもあればノリの悪いメンバーがいると最悪につまらないときもある。
こういうところは新興宗教も教育上いいなと思う。
夜の儀式
朝の儀式同様、夜の儀式もある。
儀式と言っても単調な言葉をくり返すだけだ。歌うときもある。
太鼓がどんどんなったり、怪しげな音楽が流れるCDは眠気を誘う。
就寝
夜の儀式が終わると布団を敷いて寝る準備をする。
布団を敷き終わったのを確認すると、お兄さんがみんなを布団の上で正座させた。
顔を流すように見ながら「せ~のっ!」と言った。
「〇〇さま!おやすみなさい!」
「今日も一日ありがとうございました!」
一日が終わった。
明日も同じようなことがくり返されるのだろう。
最後に
セミナーが終わると大体みんな親が迎えに来る。
けどわたしの場合はいつまでたっても親が来ない。別のセミナーに参加しているからだ。きっと小学生より本格的なセミナーだろう。
そういえば半年くらい電話でしか話していない。
A君の親が迎えにきた。
「じゃあまたね!バイバイ!」
A君を見送ったあと、わたしは一人電車とバスを乗り継いで誰もいない家に帰る。
P.S.
ある日、何かの映画で「起床!起床!」と叫んでいるシーンがあって反射的に反応してしまった。
何かと思ったら刑務所の映画だった。
笑うしかないっしょ?(苦笑)